| 多分、信じられないほど間抜けな顔をしていたに違いない。 「いらっしゃい、スネーク、博士。サニーも。歓迎するわ」 にこやかな笑顔で来客を迎えたローズはその手に少年を抱いていた。色素の薄い銀髪は父親譲りなのだろう、見慣れない大人に戸惑いの色を浮かべる目を覗き込んでオタコンは笑う。 「いいのかい?僕らはいまだにお尋ね者なんだけど」 「あら?そんなこと気にすると思う?」 さあ、早く上がりなさい、と、そう言いたげな彼女はあの事件の時から随分と印象が変わった。 母である強さ、そういうものだろうか。 「ジャック!」 リビングダイニングは清潔感溢れる空間だった。 転がったオモチャが雑然と感じないのは家主の力量だろう。 しかし、そんなことよりも。 「…ジャック?」 その光景に、一番に反応できたのはサニーだった。 強化外骨格に包まれた、あのとき失った腕は一見して元に戻っている。 いや、そんなことに驚いたわけではないのだ。 「なに、してる?」 刀を握っていた手がトングを持っている。ご丁寧にエプロンまでつけて。 気恥ずかしそうに運んできた皿には、大盛りのパスタ。 お手軽料理とは言え、あの雷電が、料理。 「ジャックったら、急に自分が食事を作るって言い出して」 「ああ、いや、まあ…」 ばつの悪そうな顔だった。そう言えば彼女の料理はレーションより不味いのだったか。 自分たちの周りには料理が苦手な女性が多いと思っていたが…。 「意外な才能だな、ジャック」 スネークが肩を震わせる。やがて耐えきれないといった様子で腹を抱え始めた。 反応のタイミングを逃したオタコンは、ただただ憮然としたジャックとスネークを交互に眺めるだけだ。 「こう見えて張り切っていたのよ。ジャックってば照れてるのね」 テーブルにはささやかなディナー。 それは、長い道のりの末の、一つの形。 「ねえジャック」 「なんだ、サニー」 「今度、私に料理を教えて」 「………機会があればな」 |