| 「ジャック」 それは、あの男の声だった。 信頼し、共に戦い、嫌悪し、それでも憎みきることの出来なかった声だった。 不思議なものだ。 微睡みに包まれたような穏やかさの中で、前に立つ人は哀れな老人ではなく、あの頃のままだ。 「私は…」 何か言いたそうに口をつぐんだ彼に、袂を分かったときの横暴さは感じられない。 ああ、結局。 俺もアンタも同じだった。俺たちは、みんな同じだった。 同じ夢を見て、夢ばかり見て、何も見えちゃいなかった。 「少佐」 だからもう、終わりにしようじゃないか。 同じ愚か者同士、いまさら争ってどうする。 「パラメディックとシギントが、待ちくたびれているだろう?」 また小言を聞かされるのはごめんだ。 水に流すわけではない。赦すわけではない。 「長かったな」 呆れるほどに。 「ああ、そうだな」 そこには貴女もいるのだろうか。 |