奇妙な静けさだった。ヤモリの鳴き声が去り、悲鳴が消え去り、砂塵が止む。
刀とナイフが奏でていた音も、すでに止んでいた。
灰色の世界に、取り残された、二つ。
カーテンコールを迎えた役者のように気障な仕草で礼をしたヴァンプは、雷電を見据えて冷笑を浮かべる。


「死を畏れていない?」


冷笑はやがて哄笑に。建物の谷間にこだました声が尾を引きながら消えた。


「何を言う。お前は生きてすらいないだろう?」


生も死も所詮同等のものならば、死なないことは、生きていないことと同じだと。


「俺は、貴様とは違う」
「何が違う?同じ化け物だろう」


戯れのように飛ぶナイフをたたき落とす。


「さあ、化け物らしく殺し合おうじゃないか。お前の死体を喰らってやろう。さあ!」


作られた血液を杯に満たして。
その死体に口付けを。




愛しい化け物達に。






08/06/28  あやふじ

−習作。