身体が振り回される感覚。 体内の臓物が捻れ、絞られる。 無理矢理目を開こうとして、失敗した。光に目を焼かれたのだ。 次の瞬間、俺は暗い部屋に放り出された。 「ぐわ」 カエルの鳴くような声がして、柔らかいものに尻餅をついた。 どうやら着いたらしい。 「ここはっ…どこだ…」 「俺の上だ」 真下から聞こえてきた覚えのある声にびくりと肩を揺らす。 まだ目が回復しておらずおぼろ気な輪郭と声で判断するに、俺が尻に敷いていたのは紛れもなくスネークその人だった。 焦って身体を退ければ、スネークは腰を擦りながら起き上がった。 「隊長!大丈夫ですか!」 聞こえた声の方を振り向けば、再び光が目に入った。 うお、まぶしっ。 連れ出されて初めて理解したのは、移動した先がトラックの中だったと言うことだ。 立ち上がるスネークに手を貸すと、目を見開いてこれは珍しい、と言われた。 目が段々慣れてくると、回りの様子もわかってきた。 どうやら森の中にいるらしい。 一昔前の装備を身に付けたロシア兵や、医者、研究員たちが俺を見ている。 居心地が悪い。 俺は助けを請うようにスネークを見て、その顔に見慣れない物がついているのにようやく気が付いた。 ――ここはまだ過去か! 戻ったのではなかった。 そう気が付いて、どうするかと思考を巡らせたところで近くにいた兵士が口を開いた。 「ライコフ!お前、一人で戻ってきたのか」 「ウルフとバディだったろう。奴はどうした」 早口に捲し立てられる。 俺を見て誰だと聞かないところを見ると、どうやら別の誰かに間違われているようだ。 「いや…あー…そのー…」 なんと言うべきなのか困り果てて、またスネークを見てしまう。 暗殺対象なのに、何を頼ってるんだ、俺は。 「おい」 スネークが、いや、ビッグボスが軽く俺の肩に手を置き身体の向きを変えられた。 そして。 「ひゃっ…!!」 鷲掴みにされた。 何をって、ナニをだ。 確か大統領にもされたな、と思い出し振り払おうとしてしくじった。 腕が空回りして倒れ込む。 それを支えたのは、ビッグボスだった。 女性だったらキュンと来るような、それはそれは格好いいシーンだ。 だがその要因を作ったのは当人のビッグボスだということを忘れてはいない。 胸がときめくどころかかなり苛立つ。 「似てるが、コイツはライコフじゃあないな」 「は?じゃあ誰だってんです、隊長」 「ただのそっくりさんだろ」 暴れる間もなく腕を取られた。 後ろ手に拘束され膝を蹴られ、堪らず座り込んだ。 相変わらずCQCは完璧すぎる程だ。儀式の人か、アンタは。 ぎりぎりと締めあげられ、背中と腕が攣りそうになった。 「誰かはわからんが、悪意はなさそうだ。協力を頼もうか」 「っ…ここまでして、よく言う!」 そう返せばビッグボスは快活に笑い、それもそうだな、と言って腕を放した。 捻られた関節が、悲鳴を上げている。痛い。 俺の拘束を解いた彼は、息子とよく似たその顔で真っ向から俺を見てにやりと笑った。 「さあ、お前の名前を聞かせてくれ」 やはり、殺しておくべきだった! (早く言え、じゃないと潰すぞ) (雷電だ、絶対にやめてくれ) |