明け方の空を仰ぐ。 やがてくる太陽に目を細める準備をしながら、しんと静まった世界で私は一人待っている。 この地球で、自分だけが特別な人間なんじゃないかと思うほどの感覚。 目覚めを待つ世界はたださざ波だけが動き、潮の塩辛い香りだけが漂っている。 夜明け前の冷たい空気が首筋を軽く撫でた。 小さな頃、この世界の果てはどこまでも白くて、争いのない平和な国があるんだと思っていた。 悲しいときには歌を歌い、寂しいときには笑い合う。そんな国。 いつしか常識という枷に捕らわれて、そんな事考えるのもやめてしまったけれど。 一筋の光が目を焼いた。 痛みにうめく間もなく、飛び込んでくる光たち。 私は私の存在を確めるように自分を抱きしめた。 このまま太陽に吸い込まれて燃えてしまえたら。 それは世界にとってどんなにいいことだろう。 だけど、私は怖いのだ。 今逃げて、私のなしてきたことが全て無に還ってしまうのだとしたら、それはなんて恐ろしいことなんだろうと思う。 羽織ったコートがはたはたと揺れて肌を擦る。 その感触に、私はまだ燃えていないことを実感した。 ねぇ聞いて。 私はとてもワガママで、一人よがりなことばかりをしてきたと思うの。 思い出が欲しくて、触れられたくて、優しいひとを騙して利用して。 寂しさなんかいらないのに、どうして感じてしまうの? 頭まで毛布にくるまって朝まで眠ってしまいたい程不安なの。 私は兄さんのようにできた人間ではなかったから、いつも何かに揺さぶられていた。 懸命に立とうと足に力をいれるのに、いつも決まって土台が崩れてしまうの。 兄さん。 兄さん。 どうか、私を見ていて。 私は貴方のように誰かを救うことなんてできなかった。 けれど。 太陽が昇り、夜が明ける。 歌が響き、笑い声が溢れる。 そんな当たり前の世界で、いつか全ての不安や悲しみや苦しみや飢えや争いや貧しさが燃えて、白い国が生まれてくれればいいと思うの。 私は、そのために世界を壊すのよ。 私は、私を壊しにゆくのよ。 私は、太陽の光に包まれてその光の強さに燃えてしまって、世界から悪い人間がすべて消えてしまう想像をした。 ああ、やがて、塵一つ残すことなく私も燃えてしまうだろう。 |