夢を見ていた。 途方もなく長い廊下を、必死に逃げる夢だ。 「何から逃げていた?」 兵士だ。 夥しい血を流しながら、怨み言を呟いていた。 手足が折れている者も居た。 全身が焼けただれている者も、首が切れている者も、中には内蔵をかき集めている者もいた。 眼が抉れても、首が飛んでいても追いかけてきた。 「君はどんな恰好だった?」 子供の姿だった。 チャイルドソルジャー時代の服を着ていた。 それも血で染まってた。 変色していた。とても不潔で臭う服だ。 顔の周りを蠅が飛んでた。 「その時君はどう感じた?」 わからない。 とても怖かったが、それが理不尽にも感じた。 何故追いかけて来るのか、怨まれるのかわからなかった。 だけど、誰も許してはくれないことだけはわかった。 でもそう思う反面、追われることも許されないことも当たり前だと感じた。 ただ逃げ続けなければいけない焦りだけがあった気がする。 「夢の中の兵士は、君に何と言った?」 良く覚えてない。 ただ言われて当然な事を聞いた。そうして廊下をぐるぐると走ってた。 「廊下は円かった?」 ああ、そう、そうだ。 気が付いたら俺は兵士の背中を追っていた。 追われていたのに、今度は俺が追いかけていた。 動くもの全てが憎かった。 静かにしなくちゃ、って。 「…君が兵士を追っていた」 そう、そうだ。 殺さなくちゃ独り残らず動かなくしなくちゃ痛かったのなら謝るから、俺の、おれがみんなを! 「催眠が効きすぎてる!目を醒まさせるけど、いいよな!」 『仕方ないな、鎮痛剤を打て。ゾウ用くらいの強いやつだ。暴れだしたら手がつけられん』 殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるころしてやるコロシテヤル!! 「ジャック、君はもう悪夢から醒めた。ここに敵はいない」 『全く。少年兵とベトナム帰りは恐ろしいな』 「気を失ったようだ。汗が酷い、調整槽に戻すか?」 『そうだな、またゆっくり悪夢でも見ると良いさ』 許さない、赦さない、ユルサナイ。 ゆるされたい。 『どうせ自由に殺せるのも、夢の中だけだ』 |